皿潟(皿船が沈んだという伝説)-三条市-

『郷土誌資料集 井栗』より

 ある秋の日の夕暮れ、
舟子(ふなこ。水夫のこと)
三人乗りの帆掛け船が一そう、
陶器を満載して、
三条の方から船足を早めて急いでいた。

と、
西の弥彦山に黒い夕立雲が出たかと思うと、
雷がかすかに鳴り出し、
みるみるうちに空が雲におおわれ、
雷鳴激しい大夕立になり
横なぐりの風も次第に激しくなっていった。

 船はなすすべなく、帆を巻いて
荒れる暴風雨に
身を任せるしかなかった。

やがて次の瞬間、ドッときた大波に
アッという間もなく船はのみこまれ、
沈んでしまった。

船の荷物は皿やツボだったので、
その重みで浮き上がることが出来ず、
乗っていた三人の舟子も
一緒に沈んでしまった。

 それから数百年、
今もなお雨の降る夜に、
遠く船の沈んだあたりから亡魂が

「オーイ」「オーイ」

と助けを呼ぶ声がきこえてくるそうだ。

場所は、現在の白山地内から下条寄りのところ。

 昔は治水もままならず、
洪水のたびに川筋が変わり、
ある時代においては
信濃川も五十嵐川も
川欠けなどのために
混流したままであったかも知れない。

従って船も自由に航行できたことだろう。
だが航行技術が進んでいなかったので、
時折難船したのだろう。

 伝説などは昔から

「火のないところに煙が立たぬ」

と言うが、
最近、吉津川河川工事の時、
数尺の地中から壺や皿が実際に出て来た。

そしてそのあたりの地名を
「皿潟」
と呼んでおり、
事実語り手も出土した土器を保存している。

おそらく当時は現在の部落はなく、
見渡す限りの荒れた沼だったことだろう。

(原文要約)